理事長ごあいさつ
NPO法人自然塾丹沢ドン会
理事長 可児康一郎

都心から電車とバスを乗り継いで1時間半、こんな近くになんて素敵な場所があるのでしょう!ここ、名古木の棚田は周囲を里山に囲まれたまるで別世界の谷津です。田んぼ・草地・小川・雑木林などで構成され、多様な生き物が生息する豊かな自然が残っているところです。
この棚田は、何世代にもわたって人が手を加え、その恵みを授かりながら暮らしを営むことで保たれてきました。2022年3月には農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に「名古木の棚田群」として神奈川県内唯一認定され、2024年8月には「第20回石井進記念棚田学会賞」を受賞しました。
私たち丹沢ドン会は、この地域で担い手が減少し耕作放棄されていた棚田を2002年、地元農家とのご縁で借り受けて復元し、翌年から米作りに取り組みました。丹沢のふもとに位置する名古木は、都市からも訪れやすい利便性を持っています。この立地を生かし、2004年から毎年「丹沢自然塾」を開講して、都市および地元の幅広い世代を集めて1年間の農業体験と自然学習の場を提供してきました。私たち丹沢ドン会は、棚田を核とした伝統的農村風景を次世代に繋ぐことを使命としていますが、この丹沢自然塾の卒業生が丹沢ドン会の新たな活動の担い手となり、丹沢ドン会の世代循環を形づくっています。この心安らぐ名古木の「さとやま」に集うのは、自然の中に遊び、働くことが大好きな仲間たちです。
首都圏の緑の砦でもある丹沢が育んだ水、寒暖差の大きな棚田の気候・風土、名古木の自然は、豊かな恵みをもたらしてくれます。一方で、地球温暖化のさまざまな影響は名古木にも及び、時として自然の猛威に晒されることもあります。私たちは、毎週末、ここ名古木の里山に集まり、棚田での米作りや、畑地での野菜・そば作りなどの農作業と里山管理活動を続けています。仲間たちの協同作業で得た安心安全なお米や野菜は格別のおいしさです。何よりこの素晴らしい場で時を過ごせることを幸せに感じます。この美しい棚田と里山の恵みは先人から預かった宝物であると深く感謝し、地域の人びとと共に、次の世代、未来の子どもたちへつなぎたいと思っています。
名古木の棚田、そして、私たち丹沢ドン会の活動にご興味をお持ちの方は、ぜひ「丹沢自然塾」にご参加ください。「さとやま」での1年間の自然・農業体験は、大切な食を見直し、人と自然との関わり方を考えるきっかけとなるでしょう。名古木の棚田でお待ちしています。
目的
自然塾丹沢ドン会は、丹沢及び山麓の豊かな自然、風土、文化の変容に対して、 「登山道等の補修」「伝統風景の保全」「風土が育んだ文化、伝統、芸術の保全」等の事業を、山麓に暮らす人たちとともに行い、もって健全な社会資産の形成、公益の増進に寄与することを目的とします。
事業内容
(1)里山保全事業 :山麓の伝統的風景の保全を図るため、調査、研究、学習をし保全、復元及びビオトープ作りをすると共に環境保全の為の啓発活動、情報発信事業、支援活動を推進します。
(2)環境学習事業 :自然の摂理及び生物の多様性並びに循環型社会のシステムなどを学び、自然及び環境に対する気付き、関心を高める事業をあらゆる層を対象にして行うと共に支援活動を推進します。
(3)山地保全事業 :動・植物、昆虫など生物の保全、回復の為の活動、情報発信事業、支援事業を行います。
(4)文化、芸術事業 :市民の文化・芸術活動を支援する為各種教室、展示会の開催及び支援事業を行います。
(5)支援事業 :環境保全のための専門家及び指導者の派遣並びに環境保全に係る出版物の企画、デザイン、編集、印刷などの支援を行います。
正式名称 | 特定非営利活動法人自然塾丹沢ドン会 |
所在地 | 神奈川県秦野市 |
会員数 | 162名(2024年4月現在) |
自然塾塾生 | 48名(2024年度) |
創立 | 1992年 3月 (2001年9月NPO法人認証) |
事業責任者 | 理事長 可児 康一郎 |