ドン会の活動
丹沢山ろくの地元の人びと、東京や神奈川県内などの都市の人びとによる会員は約90ファミリー。毎週土曜日の活動日には、入れ代わり立ち代わり多数の会員が参加して、秦野市東部の名古木(ながぬき)の棚田を復田し、有機・無農薬・天日干しの米づくりにいそしんでいます。
周辺の畑では無農薬の野菜やそばの栽培、名古木と羽根地区(秦野市中央部)の雑木林の伐採・下草刈り・植樹による里山の管理活動などを行っています。
自然の恵みに感謝し自然の厳しさに畏敬の念を抱き、人間の都合を少し控えながら自然との付き合い方を模索しています。
自ら収穫したお米を釜で炊き、自ら種を蒔き収穫したそば粉でそばを打ち、とれたて野菜や自生する野草を味わえるのも楽しみの一つです。
「名古木」の豊かな生態系
「さとやま」を構成する多様な自然環境の中で、人の手を入れ、米作りや野菜作り、雑木林・竹林管理などをすることによって、田んぼに水が循環し、谷戸に風が渡り、太陽の温もりが大地を豊かにします。かつて当たり前に生息していたさまざまな生き物たちや植物などが、名古木のフィールドでは今も存在している最大の理由です。
人が自然と関わり、良い関係を保つことで自然の循環が促され、生物の多様性を再生保全しているのです。
丹沢ドン会では2021年30周年を記念して「丹沢山ろく名古木田んぼの生き物図鑑」(夢工房刊)を発刊いたしました。
これまでの受賞歴
- 第16回神奈川地域社会事業賞(2003年、神奈川新聞社)
- 第18回「手づくり郷土賞」(地域活動部門|2003年、国交省)
- 日本里地里山30保全活動コンテスト選定(2004年、環境省・読売新聞社)
- 第2回山岳環境省・B賞(2004年、山と渓谷社)
- 「みどりの日」自然環境功労者表彰・環境大臣賞(2005年、環境省)
- 国際ソロプチミスト秦野(クラブ賞)受賞(2006年)
- 「かながわ地球環境賞」(2015年、神奈川県)
- 「つなぐ棚田遺産」に”名古木の棚田群”として神奈川県内唯一認定(2022年、農林水産省)
- 「第20回石井進記念棚田学会賞」(2024年、棚田学会)
他
活動頻度、活動への参加人数
丹沢ドン会の活動は、通年毎週土曜日に行われています。入れ代わり立ち代わり常時30名前後の会員が活動に参加しています。定例のドン会の活動、年10回開催している「丹沢自然塾」の参加者を加えると、年間延べ2300名余りの参加者を数えます。
活動における工夫や、独自で実践している内容
●ファミリー会員制度
丹沢ドン会は、同一家族内の一人が会員になると、そのファミリーは誰でもいつでもドン会の活動に自由に参加できます。
「参加者は対等平等、互いの個性を尊重し合って、得意技を生かす」ことを活動の基本にしています。目の不自由な方も、シニアの方も、赤ちゃんも、それぞれが個性。その場にいることでコミュニケーションの担い手となります。すべての参加者に、それぞれの居場所があることを願っています。
肉体派の活動を担うのは40~60代ですが、参加者の年代は0歳から80歳代までと幅広く、特に子育て世代の親子の参加が近年増加しています。
●「丹沢自然塾」の開催
里地・里山の元気づくりのためには担い手が必要です。担い手不足の現実に対処するために、毎年「丹沢自然塾」の塾生を募集しています。ドン会ではベテランから初心者までが地元農家の名人の指導を受けながら、数を頼りに担い手不足を解消します。
毎年、30~40名集まる新規の塾生の方々は、1年間の農的・自然体験を経て、ドン会で学んだ生き方暮らし方をそれぞれの生活の場に生かしたり、塾生からドン会会員になる人も増えています。塾生・ドン会会員は、県内はもとより、東京・埼玉からも電車・バスを使って参加し、丹沢山麓の里地・里山と都市を結ぶ役割を担っています。里山や棚田の継承者であることと同時に、都市の暮らしの中で忘れがちな「農的」生活スタイルや感性を養っているのです。