

1年の仕事始めは棚田開きからスタートします。沢水から汲み取った若水とお神酒の献上を、この年の年男・年女が行い1年の豊作を祈願します。冬季も湛水した水田では薄氷が張っていますが、田んぼの土手や畦の整備作業はもう始まっています。
一年中忙しく土を耕し、畝(うね)を作り、季節の野菜の種をまき収穫を行う畑ですが1月は比較的のんびりできる時期です。
1月から3月頃まで、棚田で収穫した米のモミ殻で燻炭づくりを行います(燻炭は畑の肥料となります)。

田んぼは自然とのたたかいです。
沢蟹(サワガニ)などが畦に穴を開けるため、田んぼのいたるところで水漏れしてしまいます。
畦の穴埋めや雨風で崩落した土手や畦の修復作業に汗をかきます。この頃、冬季湛水の田んぼには沢蟹を狙っているのでしょうか、アオサギがやってきます。
畑では葉菜の種まきが始まります。白菜などの収穫はこのころ終わります。



米づくりのスタートの月です。米づくりは「塩水選」から始まります。塩水に種籾(タネモミ)を入れて沈んだ籾を選ぶ大切な作業です。次に冬の間休眠していた種籾を水につけて「春ですよ!」と眠りから覚ましてやります。
目を覚ました種籾は、胚芽の部分から発芽し成長していきます。
田んぼは少しずつ暖かくなってきて、草も生え出してきています。「草取り」「田起こし」「田んぼならし」など整備作業の真っ最中です。
畑ではジャガイモの植え付け、ニンジンの種まきなどとともに根菜、芋豆類の植え付け・種まきが始まります。

「丹沢自然塾開講」です。田んぼの一角に苗床を作り、発芽した種籾をまき、苗つくりを行います。同時に冬季湛水中の田んぼに本格的に水を入れ始め「代かき(シロカキ)」(水を入れた田んぼの土を平らにならす事)を実施します。平らにならす前に「天地返し」(上下層の土を入れ替える)を行い、田んぼに酸素を入れていきます。水を入れて凹凸をみながら土をならしていきます。水が田んぼの水準器(水平を測るツール)になります。
畑ではキュウリやインゲンの種まき、里芋の植え付けが行われます。この時期、キヌサヤや菜花の収穫を行い、参加者はおみやげとして持ち帰ることができます。



代かきが終わった水田では水が漏れないように「畦塗り(アゼヌリ)」(畦の内側を壁を塗る要領で塗り固める)を行います。ドン会ではこれらの作業をすべて人力で実施します。水が入り田んぼらしい風景が現れてきました。そしていよいよ「田植え」が始まります。苗床で育てた苗を「苗取り」して田んぼに植えていきます。ドン会では約1ha(9,944㎡)ほどの復元棚田を昔ながらの手植えで行います。メンバー考案の「田植え定規」を使っておおぜいの参加者が楽しく田植えをしています。
畑では夏野菜の植え付けが開始されています。トマト・ナス・ピーマン・キュウリ・オクラ・ゴーヤ・枝豆などの種まきが始まります。

田植えが終わった田んぼには米ヌカを散布します。草の発生を抑える働きと食味向上の効果が期待できます。コナギやオモダカなど田んぼに生える抽水植物があちこちに顔を出します。草取りの始まりです。また、水の管理も大切です。生きとし生ける生き物たちの命の水です。
畑では野菜の苗がどんどん育ち、緑であふれんばかりです。玉ねぎやそら豆などの豆類、ジャガイモなども収穫が期待できます。新鮮で無農薬、安全安心なドン会野菜のおみやげが参加者の家庭の食卓に並びます。



稲の茎が分蘖(ブンケツ)して株が大きくなる時期です。草丈も伸びてきました。田んぼは一面鮮やかな緑に覆われ草も負けじとどんどん生えます。炎天下の草取りも田んぼに入ると足がヒンヤリとして気持ちがいい。みんなでおしゃべりしながらの草取りは楽しいものです。この時期にはイノシシなどの獣害から稲を守るために大切な電気柵の設置・補修をします。自然塾は東海大学北野教授をお招きして、子供たちお待ちかねの「田んぼの生き物観察教室」です。棚田に歓声がひびき渡ります。
畑ではキュウリ・トマト・ナス・ピーマンなどの収穫が始まります。

田んぼはドラマティックに変身します。稲の一番上から穂が顔をのぞかせます。これが出穂(シュッスイ)です。穂が出ると白い花が咲き、いよいよ実入りの季節がやってきました。
畑ではお盆過ぎにソバの種まきを行います。また、白菜・キャベツ・ブロッコリーの種まきも始めます。暑い中の作業ですが、休憩や昼食の時間には収穫したばかりのキュウリやトマトを冷やして思う存分食べられます。みんなで育てた新鮮野菜をその場で食べる。最高の贅沢です。



待ちに待った「稲刈り」です。ドン会ではカマを使って人の手で収穫を行います。刈った稲は「ハザ掛け」(竹林から切り出した竹を組み、干し竿をつくり稲を掛ける)をして、天日で干します。ハザに掛けられた稲穂は太陽の恵みを存分に浴びおいしさを増します。
畑では大根の種まきが始まり、夏野菜の収穫が終わります。ソバ畑では播種(ハシュ)から2週間後くらいに土寄せの作業を行います。下旬ころには畑一面に可憐なソバの白い花が咲き始めます。

天日干しした稲は乾燥具合を確かめながら、「脱穀」(稲穂の束から籾(モミ)を取り出す)します。そして収穫した籾はJAの精米所で「精米」し、いの一番に名古木の土地を提供していただいている地域の方々に届けます。1年間農作業に携わった参加者には、その年の収穫量に応じて1ファミリー数キロのお米を配布します。また、脱穀した後の稲わらは積み上げて保存し、畑の作物の雨除けや冬の間の保温用に使い、刻んだ稲わらは田んぼにまきます。土に還り栄養分となって自然の循環をつなぎます。田んぼは次の米づくりに向けてしばらく休眠に入ります。
畑では、そら豆・キヌサヤ・エンドウ豆などの種まきが始まります。



下旬には丹沢ドン会恒例の「収穫祭」が開催されます。大地の恵み・1年の収穫に感謝し、ドン会会員の他、協力いただいている地域や自治体の方々・自然塾生も一緒に総勢100名以上もの人々が名古木の棚田の原に集います。フォルクローレの調べにのせて輪になって踊り、「収穫祭」は最高潮に。地元の方々の差し入れ、ドン会のとれたて野菜、会員の一品持ち寄りの手料理や飲み物で語らいと交流の輪が広がります。
畑では大根が育ち収穫が始まります。玉ねぎの植え付けも行います。また、ソバの刈り取りや天日干し・脱粒など米づくりと同様の作業を行います。

ドン会では種まきからソバを育てました。伊勢原市にある国指定登録有形文化財「雨岳文庫」の土間で「そば打ち体験」を開催します。「挽きたて・打ちたて・茹でたて」の三たてに「獲れたて」を加えた四たての完全手作りそばを楽しみます。
畑ではニンジン・大根・カブなどの根菜を収穫します。
